住宅ローン・任意売却・競売・不動産に関する 専門用語辞典
住宅ローン、不動産、競売、任意売却などで使う言葉には、耳慣れない専 門用語が多いものです。返済が滞った際に突如裁判所から届けられる案内 には、見たことのない言葉が並び、それだけでも不安になることがありま す。 しかし「この用語は、書類は何を意味するものなのか?」と思ったら、 まず調べてみることをお勧めします。意味だけでも知っておくと、少しは 落ち着を取り戻せるからです。次の手だてや解決法を考えるのに役立つこ ともあります。 この辞書では、住宅ローン・任意売却・競売・不動産に関する専門用語を 五十音順に並べました。ぜひご活用ください。
は
配当要求(はいとうようきゅう)
配当要求とは、債権者が配当などを受けるべき債権者の地位を取得するために、すでに開始されている他の債権者が申し立てた競売手続に参加し、自己の債権の満足を受けようとする手続のこと。
しかし、誰でもこの手続に参加できるわけではなく、配当要求を行える債権者は限定されている。配当要求は、他の債権者が申し立てた競売手続に参加し、その手続上で配当などを受ける地位を取得するにすぎないため、当該手続が取り下げ、または取り消しにより終了した場合には、配当要求も効力を失う。
配当要求終期の公告(はいとうようきゅうしゅうきのこうこく)
執行裁判所は、競売の申立が行われた際には、配当要求の終期を定め、公告をすることが義務付けられている。これを「配当要求終期の公告」という。
売却基準価額(ばいかきじゅんかがく)
競売にあたり対象となるその不動産を裁判所の評価人が調査して、取引事例や公示価格に基づいた後、権利関係を加味した上で定めた、入札時の基準となる価格のこと。(最低売却価格に代わるもの)
売却決定期日(ばいきゃくけっていきじつ)
執行裁判所が最高買受申出人(買受申出人)に対し、不動産の売却を許可するか否かを審査し、その結果について決定を下すという審査を行う期日のこと。
通常、裁判所書記官は、売却決定期日を開札期日から1週間以内の日に指定する。
売却実施処分(ばいきゃくじっししょぶん)
3点セット(物件明細書、評価書、現況調査報告書)が提出されて準備が整うと、裁判所書記官は価格競争売却の方法を決定し、期間入札の方法がとられる場合には、入札期間、開札期日、および売却決定期日を定め、執行官に売却実施命令を発する。これを売却実施処分という。また、この処分が行われる日のことを売却実施処分日という。
破産(はさん)
債務者が経済的に破綻して、弁済期にある債務の総債権者に対して債務を一般的・継続的に弁済することができない状態にあることをいう。またそうした状態にあるとき、裁判所が債務者の財産を包括的に管理・換価して、総債権者に公平に配分することを目的として行われる法的手段を指す場合もある。破産手続。→管財事件、同時廃止事件
の項を参照。
破産管財人(はさんかんざいにん)
破産手続において破産者の財産の管理・処分を行う機関のこと。管財人に選任されるのは、ほぼ例外なく弁護士で、その選任は裁判所が行う。破産管財人が選任されると、破産者の財産を管理・処分する権限はすべて管財人に移る。管財人は破産者の財産を迅速かつ正確に調査をして、すべての債権者に公平に分配できるように手続を進める。
ひ
引渡命令(ひきわたしめいれい)
引渡命令とは、買受人が代金納付を済ませた後、建物から簡易な手続で占有者を退去させる命令のこと。
評価書(ひょうかしょ)
執行裁判所の選任した評価人(原則として、不動産鑑定士)が、その物件の価格評価と算出過程などについて記載した書類のこと。
評価書には、不動産の評価額、周囲の環境の概要などが記載され、不動産の図面などが添付されている。算出された評価額の理由、不動産の現況、それをめぐる公法上の規制など法律関係のあらましが分かる。
ふ
物件明細書(ぶっけんめいさいしょ)
買受人が引き受けることになる権利関係など競売物件に関する一定の情報を記載して備え置くこととされているもの(民事執行法62条、民事執行規則31条により)。
物件明細書には、その不動産を買い受けたときに、買受人がそのまま引き継がなくてはいけない貸借権などの権利があるかどうか、土地か建物だけを買い受けたとき建物のために地上権が成立するかどうかなど、参考事項が記載されている。
物件明細書は、記録上表れている事実などと、それに基づく認識を裁判所書記官が記載したものに過ぎない。従って、当事者の権利関係を確定するものではなく、権利関係に関する裁判を拘束するものでもない。
ブラックリスト(ぶらっくりすと)
実際に「ブラックリスト」という要注意人物リストなるものがあるわけではありませんが、 住宅ローン、ショッピングローン、キャッシングなどへの支払いを数ヵ月にわたり延滞した場合、
個人信用情報に延滞情報、もしくは事故情報が登録される。この状態のことを、一般的に「ブラック」と呼ぶ。
任意売却をする場合、すでに銀行の支払いをストップしているのですから、個人信用情報には初めから記録されている。つまり不動産を任意売却をするからブラックになるわけではなく、住宅ローンを滞納していく過程で事故情報としてすでに登録されてしまっている。カードをつくったり、新たにローンを組んだりはできないが、決してその状態が一生続くわけではなく、通常数年経てば回復する。
へ
返済額軽減型(へんさいがくけいげんがた)
返済額軽減型とは、住宅ローンの繰上返済の返済方法の一つ。毎月の返済額を減らせる効果がある。住宅ローンの繰上返済の方法には、期間短縮型と返済額軽減型の二つがある。返済額軽減型は、返済期間はそのままで、月々の返済額を減らす方法のこと。一般的には期間短縮型の方が利息軽減効果が大きいが、住宅ローンの返済が厳しく感じる場合には、この返済額軽減型を選ぶのも一つの方法。ただし繰上返済の手数料は、返済額軽減型の方が高い場合が多い。
変動金利型住宅ローン(へんどうきんりがたじゅうたくろーん)
変動金利型とは、その時々の金利情勢に応じ、定期的に住宅ローン金利の見直しが行われる商品のこと。
住宅ローンの種類には、固定金利型、固定金利選択型、変動金利型の三つがある。変動金利型は、金利情勢に応じ、定期的に(半年に1度など)住宅ローンの金利が見直される仕組みになっている。一般的に契約時の金利は、固定金利型や固定金利選択型よりも低く設定されているが、その金利がいつまで続くかわからないというデメリットがある。金利の上昇に制限をつけた、「キャップ付き」の変動金利型住宅ローンを扱っている金融機関もある。
別除権(べつじょけん)
破産手続開始時に破産財団に属する特定の財産に設定されている一定の担保権に基づき、その特定の財産について、破産手続によらずに優先的・個別的に弁済を受けることができる権利のこと。
ほ
法定地上権(ほうていちじょうけん)
土地とその上の建物が同一の所有者で、そのどちらかに抵当権が設定され、抵当権の実行(競売)によって土地と建物の所有者が異なった場合に、建物について地上権が設定されたとみなされる。
この権利を適用するためには、抵当権設定時に土地・建物両方があり、同一の所有者である必要がある(つまり更地は不可)。
ちなみに、更地に抵当権を設定し、その後その土地に建物を建築した場合、抵当権者は建物の競売(一括競売=民法第389条第1項)も行うことができる。
保証会社(ほしょうがいしゃ)
債務者が期限の利益を喪失した場合、債務者に代わって債務を弁済する保証委託契約を債務者と締結する会社。
保証料を払うことにより、連帯保証人になってくれる会社。
保証会社が債務者の代わりに債務を支払った(代位弁済という)後は、債権は銀行から保証会社に移り、保証会社から債務の一括返済を請求されることになる。
保証会社事務取扱手数料(ほしょうがいしゃじむとりあつかいてすうりょう)
ローン契約の際に保証協会・保証会社は、ローン契約についてのすべての事務処理を行う。それに対する手数料のこと。
保証人(ほしょうにん)
債務者本人に支払能力がない場合に限って返済義務を負う人のこと。
保証料(ほしょうりょう)
保証料とは、住宅ローンの借入時に、保証会社の保証を得るために支払う料金のこと。借入金額と返済期間により異なる。