住宅ローン・任意売却・競売・不動産に関する 専門用語辞典
住宅ローン、不動産、競売、任意売却などで使う言葉には、耳慣れない専 門用語が多いものです。返済が滞った際に突如裁判所から届けられる案内 には、見たことのない言葉が並び、それだけでも不安になることがありま す。 しかし「この用語は、書類は何を意味するものなのか?」と思ったら、 まず調べてみることをお勧めします。意味だけでも知っておくと、少しは 落ち着を取り戻せるからです。次の手だてや解決法を考えるのに役立つこ ともあります。 この辞書では、住宅ローン・任意売却・競売・不動産に関する専門用語を 五十音順に並べました。ぜひご活用ください。
さ
債権(さいけん)
ある人が、別のある人に対してお金の支払いなどの要求をできる権利。
債権者(さいけんしゃ)
ある特定の人(債務者)に対して、金銭の支払いやその他一定の給与を請求できる権利を持つ人のこと。
債務者(さいむしゃ)
ある特定の人(債権者)に対し、金銭支払いなど一定の給付をする義務を持つ人のこと。
債権譲渡(さいけんじょうと)
債権譲渡とは、債権の譲渡、すなわち、債権をその同一性を変えずに債権者の意思によって他人に移転させること。 債権譲渡は、債権の譲渡人から債務者に対して債権譲渡の通知を行わなければならない。
最高価買受申出人(さいこうかかいうけもうしでにん)
競売開札日に開封の結果、入札した人のうち最も高い価格を付けた人。
催告書(さいこくしょ)
債権者が債務者に対し、滞っている支払いを促す書面。納付がない場合、預金や給与などの資産調査が行われ、財産が判明した場合は差押などの滞納処分が行われることがある。
(競売)再評価(さいひょうか)
不動産競売において、入札期間中に入札が無かった物件は、開札日の翌日からある一定期間「特別売却」の対象となる。 特別売却でも残った競売物件は、再評価して(売却基準の値下げ)、再競売になる。権利関係がややこしい不動産として利用価値がないものが多く、価格を下げても落札されない不動産もある。
債務整理(さいむせいり)
多額の借金を負ったとき、多重債務に陥ったときに、債務者を再生させる方法のこと。自己破産は債務整理の中で最も知られている方法。他には任意整理、特定調停、民事再生などがある。
債務名義(さいむめいぎ)
債務者に給付義務を強制的に履行させる手続(強制執行)を行なう際に、その前提として必要となる公的機関が作成した文書のことを「債務名義」という。債務名義には「確定判決」「仮執行宣言付判決」「和解調書」「調停調書」がある。
また債務名義は強制執行の前提として必要な公的文書であるが、実際に強制執行を行なうには、債務名義に「執行文」を付与することが必要。(ただし「仮執行宣言付支払督促」は執行文なしで強制執行を行なうことができる)
先取特権(さきどりとっけん)
先取特権とは、法律で定められた特殊な債権について、債務者の財産または特定の動産・不動産から優先的に弁済を受けることのできる権利をいう(民法303条)。
錯誤(さくご)
一般的には、人の主観的な認識と客観的な事実との間に齟齬を生じている状態のことをいう。 民法においては、伝統的理解によると内心的効果意思と表示行為から推測される意思(表示上の効果意思)との不一致をいう。
差押・差し押さえ(さしおさえ)
国や自治体、裁判所などの公的機関によって、債務者が財産を処分することを禁止する手続き。
(1) 特定の物、または権利についての処分を禁止する国家権力の行為。
(2) 民事訴訟法上、金銭債権の執行時に執行機関が債務者の財産の処分を禁止する強制行為。
(3) 租税などの支払いが滞った場合に滞納者の財産の処分を禁止すること。
3点セット(競売3点セット)
裁判所で入手できる競売不動産についての資料。「現況調査報告書」「評価書」「物件明細書」の3種類の資料のこと。
残債務(ざんさいむ)
競売や任意売却などの債務整理を行った後に残る、支払い義務のある借金・住宅ローンなどのこと。
サービサー
債権回収会社のこと。
不良債権の迅速な処理と再生を目的とし、平成11年に「債権管理回収業に関する特別処置法(サービサー法)」が施行された。これに基づき、法務大臣から許可を受けて設立された債権管理回収専門の株式会社のこと。
サブプライムローン(さぶぷらいむろーん)
返済能力が低い借り手を対象にした米国の高金利住宅ローン。当初の2~3年間は低い金利を適用。その後は金利や返済負担が2倍ほどに跳ね上がる。融資残高は約1兆3千億ドルで全米の支払い延滞率は約14%。住宅金融会社は貸し倒れによる損失を軽減するため、ローン債権を大手銀行などに売却。ローンの利息収入などを原資にして、高利回りの証券化商品に仕立てられ、世界中の金融機関やファンドなどに販売された。ローンの焦げ付きで証券化商品の価格が下落し、多くの金融機関が評価損を抱えた。
し
次順位買受申出人(じじゅんいかいうけもうしでにん)
最高価買受申出人に次いで高額の買受けの申出をした人。
質権(しちけん)
質権は担保物権の一類型であり、民法に規定のある典型担保物権である(第342条)。債権の担保として債務者または第三者から受け取った物(質物:不動産でも動産でもよい)を占有し、その物については他の債権者を差し置いて優先的に弁済を受けることができる。つまり、弁済しなければ債務者は当該物の所有権を失う。
事件番号(じけんばんごう)
裁判所への問い合わせは、全て事件番号で行われる。事件番号とは、競売の申立をされた物件ごとに裁判所がつける番号のこと。たとえば、平成22年(ケ)第50号という番号は、平成22年に、(ケ)という分類で、50番目の競売申立をした物件、という意味。
自己破産(じこはさん)
破産手続きを債務者みずからが申し立てること。
→管財事件、同時廃止事件の項を参照。
執行官(しっこうかん)
地方裁判所に配属された嘱託社員。公務員ではない、その名の通り職務を執行するのが業務になる。競売に関して言えば、競売の資料作成(3点セット)や強制執行などの業務を行う。
執行抗告(しっこうこうこく)
裁判所の執行処分に対する不服申立て、異議申し立て。
住宅金融公庫(じゅうたくきんゆうこうこ)
国民大衆の住宅建設および購入に必要な資金を長期かつ低利で融資することを目的とする政府金融機関。1950年(昭和25年)に設立。
住宅金融公庫は、低金利、固定金利でそれほど厳しい条件もなく住宅資金を貸し出してくれる国の融資機関だったが、2007年3月31日に廃止。同年4月1日より独立行政法人住宅金融支援機構に業務が引き継がれた。
住宅金融支援機構(じゅうたくきんゆうしえんきこう)
2007年(平成19年)4月に設立された機関。民間金融機関による長期・固定金利の住宅ローンの供給を支援する証券化支援業務を柱とする他、民間住宅ローンの円滑な供給を促進する住宅融資保険業務や住宅関連の情報提供の業務、政策上重要で民間金融機関では対応が困難な融資業務などを行う。
住宅ローン特則(じゅうたくろーんとくそく)
個人再生手続きにおいて住宅ローンの支払方法変更を認める制度。住宅ローン特則を使っても住宅ローンの残額は免除されないが、残金の一括請求の猶予や、完済期限の延長で毎月の支払い減額などができる。これにより、住宅ローン特則を含む再生計画に添って弁済することができ、住宅を失わずにすむ。住宅ローン特則を使った場合の支払い期限の延長は、10年以内で、70歳までに完済する必要がある。(ただし、貸主の同意があれば、10年以上の延長や、70歳以上の完済も可能)
条件変更(じょうけんへんこう)
銀行融資の返済猶予、または住宅ローンの返済猶予のこと。返済額の減額、返済期間の延長、据え置き期間の導入などにより、既存の返済計画を変更すること。リスケジュール(通称リスケ)ともいう。
職権変更(しょっけんへんこう)
裁判所の職権で、いったん決まった売却手続の内容を変更すること。
使用貸借(しようたいしゃく)
無償で物を使うために貸借する契約(使用貸借契約)。ただで物を借りて使用したり収益を得たりした後、その物を返還することを約束し、借主が貸主からその物を受け取ることによって成立する契約。
せ
全額繰上償還(ぜんがくくりあげしょうかん)
残っている住宅ローンの全額一括返済すること。住宅ローンを何度か滞納すると、「このまま滞納を続けると全額繰上償還請求しますよ」という意味で「全額繰上償還請求予告通知」が所有者に送られる。その後、滞納6ヶ月を過ぎますと「期限の利益の喪失通知」、そして「代位弁済通知」「競売申立通知」が届く。
専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)
専任媒介契約とは、依頼者が依頼した宅建業者以外の宅建業者に重ねて媒介や代理を依頼することを禁止した契約のこと。依頼者による自己発見取引は可能。
この契約の有効期限は3ヵ月以内、報告義務は2週間に1回以上、契約締結後7日以内に指定流通機構の登録を行う義務がある。
専属専任媒介契約(せんぞくせんにんばいかいけいやく)
専属専任媒介契約とは、不動産の売買・賃借を不動産業者に依頼する際に結ぶ契約。依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて以来することが禁止されている契約のこと。依頼者による自己発見取引も不可。
この契約の有効期限は3ヵ月以内、報告義務は1週間に1回以上、契約締結後5日以内に指定流通機構の登録を行う義務がある。
占有権(せんゆうけん)
占有権とは、物を支配する権利のことである(民法第180条)。 土地の所有者は、その土地を所持しており、占有権を有している。 また土地の賃借人は、その土地を使用する権限があり、やはり占有権を有している。
占有権原(せんゆうけんげん)
所有者以外の占有者がいる場合に、その占有者の占有の根拠となる権利の内容。